私が電子書籍を積極的に買うのをやめた理由

 

電子化されていない本は買わない、電子化されるまで待つ。そんな急進的な電子書籍至上主義者だった私だが、ここ1年の間に電子書籍にはすっかり醒めてしまい、もう「本なんて読めれば何でもいいや」となってしまった。

なぜか?

*この投稿は2015年10月の記事に加筆・修正をしたものです

言葉を偶然再読する機会を失う

部屋の掃除をしている際に、つい無造作に並べられた本をぱらぱらとめくって読み返してしまうことがある。紙の本の場合、付箋が貼られていたり、線が引いてあったりしている箇所、もしくは偶然目についた言葉をパラパラと再読したり、本から本へパラパラ読みまたぐことが可能だ。その過程でアイデアが閃いたり、懐かしい気持ちになったりできる。

一方、電子書籍はkindleのpage flipなどパラパラ読みに類似する機能はあるものの、実際使ってみてその機能は紙に比べると貧弱だ。目についた本を次から次へとまたぎ読みするのもスムーズでない。端末のローカルに保存されていればまだマシだが、もしクラウド上にある電子書籍をパラパラ読みまたぎたいと思えば、いちいちダウンロードする手間が生まれる。

このように、紙の本は部屋の掃除などふとしたきっかけで目についた際に、パラパラめくったり、本から本へまたぎ読みすることで偶然言葉と出会う可能性が開かれている。他方、本棚を捨て、電子書籍として本を蓄積し続けるということは、そうした偶発的な言葉との出会い、それによるアイデアの閃きなどのきっかけをダウンロードの手間やソフトウェアの不便さによって失うことになる。

外では文庫本1冊ルールが楽

いつでもどこでも何冊でも本を持ち歩けるのが電子書籍の良さだが、実際のところ私は外ではあれこれ本を読みかじりしない。あれもこれも選択肢があるより、1~2ページ読み切りタイプの文庫本を1冊だけ鞄にいれて、それを電車の中とかできりよく読むほうが自分には合っている。文庫本として1冊だけ持ち歩くことで、「外出先で暇な時はこれを読む」と迷いなく判断できるので良い。ちなみに私が最近鞄に入れているのはこちらの英語の本。

目から鱗が落ちるような英文法の解説が、文庫サイズで読めて非常に良い。一つ一つの項目も2ページほどで読み切りなのでちょっとした時間にきりよく読める。

 

買うまでのストーリーを失う

ワンクリックで電子書籍を買ったときに失う時間

上のリンクの記事でもちらっと書いたが、ダウンロードして本を買うというのは実にあっけない。私は未だに高校時代にELTのCDアルバムを帰りに遠くのCD屋まで雪道を歩いて買ったことを、そのCDジャケットを見ると思い出す。特典付きのものとそうでないものがあって、特典付きを買おうとしたのに何故か店員が特典なしを出してきて、おもわず「いや、それじゃないです」と言ったら妙に不機嫌そうな顔をした店員の顔まで覚えている。紙の本もそうだ。裏に買った場所と日付をちょこっと書いておくだけで、色々思い出すものがある。ダウンロードで買うというのは、そういったストーリーの喪失を意味する。

電子化されているか調べるのが面倒

読みたい本を発見するきっかけって、本屋や古本屋をぐるっと一周して「あっこれ面白そう」という直感による部分が大きい。私の場合。その際、いちいちスマホを取り出して、アマゾンで検索して「kindle化されているかどうか」云々とかやっているのがバカらしくて仕方がない。正直、その場で買うなりしたほうが全然早い。

内容がざっくりすぐ分かるのは紙

私は新書を良く読むのだが、買うかどうかの決め手は大抵「目次」と「前書き」と「あとがき」。その辺を読んで面白そうな本は結構買う。だが、電子書籍だとサンプルをちんたらダウンロードするのがまず面倒だし、ページめくりもイライラするし、あとがきは読めないしでもう最悪。結局本屋行ってささっとページめくって読んでしまったほうが早い。

資産にならない

先日学生時代に105円で購入した政治学の本が、なんと約3000円で売れた。時を経て、絶版になり、価値が上がったらしい。紙で購入して持っておくと上手く売れば儲けが出る。また、兄弟なり親戚なり、その本を必要としている人に貸したりあげたりすることが出来る。対して電子書籍は自分で消費してそこで終了。「本棚すっきり」という開放感と引き換えに、結構損している気がしてならない。もうそんな生活にうんざりだ。

頑張って電子書籍買うのはやめた

2012年の電子書籍元年云々の時は、物珍しさと時代の最先端という気分につられて電子書籍にワクワクしていたが、もうそんな新鮮味もどこへやら。いい意味で、電子書籍が当たり前の選択肢になってしまい、だからこそ、紙の本のワンクリックを超える「楽さ」が目立ってしまった。私の中で。

今後はSonyのreaderストアのように、定期的にお買い物ポイントを発行してくれるサービスで雑誌を買う程度には電子書籍を利用するだろうが、紙より優先的に買うことはないだろう。

 

 

2件のコメント

  1. 記事ありがとうございます、自分も2年ほど前までは電子書籍の利便性に惚れ込み買いまくってました。欧州への海外出張が多かったので出張に行く前に5~6冊 買って、飛行機の中やちょっと時間ができたときに読むのが幸せでした。 

    しかし2年前に電子書籍サイトが親会社に吸収統合され、親会社のサイトへの登録を強制されたり、新アプリへの引っ越しを強制されたりしました。その新アプリも自分にとっては非常に使いにくいものでした。(オフラインだと本の表紙・サムネールが見れず、何の書籍の何巻を読んでいるのかわからない、とか) 『電子書籍とは もし 電子書籍サイトがつぶれてしまったら、それまでに購入した電子書籍は一切読めなくなる』即ち電子書籍=リスクの塊という事を強烈に見せつけられました。

    電子書籍はもう2度と買いません。

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